2010年5月25日火曜日

リアリティーを感じる瞬間





 私にとってリアリティーを感じる瞬間というのは日常の中でふとした瞬間に非日常的な違和感を感じたときです。
 上の写真は家族で群馬の田舎にお墓参りをしに行ったときに撮った写真です。田舎の田園風景を背に、空に向かって携帯電話で何かを撮っている母親の姿に私は異様なインパクトを受けました。日常的に見慣れている母親の姿に珍しいものを目の当たりにしたようなリアリティーを感じ、思わずシャッターを切っていました。

 これはその写真をもとにドローイングをしたものです。
 
 私は普段制作している作品のモチーフとしても自分が実感を持てるものをモチーフとしていて、この写真は非常に私の制作意欲をくすぐるものでした。






 これはうちのベランダから見える一軒挟んだ先さきにあるマンションの庭の風景です。
 駐車場の奥にフェンスに囲われた空間に妙な違和感を感じ写真を撮りました。そこの空間はマンションの住民すら簡単には立ち入れないスペースで謎は深まるばかりでした。特に気になるのが手前に生えたシュロの木。なぜあんな所に生えているのか。庭の手入れは行き届いているようで、地面には美しく苔が生えています。
 
 あとで聞いた話なのですが、明治、大正時代の家の庭にはよくシュロの木が植えられていたそうです。今ではシュロに毒があるとかでとんと見かけなくなっていた木だそうです。それを聞いたときピンときたのですが、あの空間は昔の家を取り壊してマンションを建てるときに庭だけとっておかれた空間なのではないでしょうか。このあたりの地域では一軒たてるごとに必ず庭をもうけて緑を絶やさなくして景観をよくする決まりがあってのことでしょう。
 そう思うとあの違和感にも頷けます。なんせあそこの空間だけ明治時代から時が止まってしまっているのかもしれないのですから。


 これは同じ場所で同じところを撮った写真ですが、前の写真とは少し違うところがあります。
 シュロの木の奥に赤紫色の花が咲いています。
 時間が止まっているような空間にも現在進行形で時が流れ季節を追うごとに変化していく。
 こんなところにも私はリアリティーを感じました。
 

 

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